熱処理の問題点「焼割れ」

 熱処理で発生する問題点、代表的なトラブルの2回目です。前回は、焼き入れ変形についてお話ししました。
 
 焼き入れ変形と同様、熱処理を行う上で発生しやすいのが、焼割れです。焼き入れ変形は素材となる金属が文字通り変形しますが、焼割れも文字通り、金属に割れが生じます。

[焼割れ]
 素材となる金属は、高温に熱した状態から焼き入れにより急冷します。これにより、金属を硬くする効果が期待できました。しかし、この急冷状態において、金属が割れてしまうことを焼き入れといいます。

 金属は焼き入れすることで、オーステナイト結晶からマルテンサイト結晶に変態します。この時に金属は膨張し、変態応力が生じます。また、急冷することで、熱処理応力も発生します。この変態応力と熱処理応力のバランスにより金属に破壊が起こってしまうのです。金属の中で薄い部分や鋭利な部分など、特に弱い部分に割れが生じます。端が欠けてしまうこともあります。

 どのような場合に焼割れするか、については様々な可能性があり、一概にこういう場合に焼割れするとは断言できないものがあります。一般的に、冷却のスピードが速いほど起こりやすく、また、焼き入れ前の加熱温度が均一でない(焼きむらがあった)場合にも起こりやすいと言われます。これは、素材の各部分により冷却の速度が異なり、変態応力と熱処理応力の相互作用が強くなることで、ひずみが生じやすくなるためです。焼き入れ後に焼き戻しをしない場合、焼き入れ後数日経過後に割れてしまう場合もあります。製品加工後に割れが生じてしまった場合、それが焼割れで起こってたのか、別の原因で起こったのかの見極めが大変難しいと言われています。
 また、素材となる金属が大きい場合は、金属全体の温度と外気の温度差が激しい場合にも焼割れが発生しやすいようです。

 焼割れの防止としては、焼き入れ前の加熱方法の検討(加熱する温度が高温過ぎではないか、全体に均一に加熱できているか)、焼き入れ方法の検討(冷却のスピード)、焼き入れ後に焼き戻しを行う、などといったことが挙げられます。

 素材となる金属を焼割れせずに調質するためには、ある程度の経験と実績が必要となってきます。

 
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