~焼入れ~質量効果とサブゼロ処理

 「焼入れ」について詳しくお話ししています。前回は焼入性についてお話ししました。焼き入れによる効果は、焼きの硬さ、焼きの深さの2つによって決まるというものでした。つまり、「どのくらいの深さまで硬さが入るか」ということです。

 今回は、焼入れ時の質量効果とサブゼロ処理についてご説明いたします。
 
【質量効果】
 鋼材に焼き入れを行う場合、サイズの大きな鋼材では中心にまで焼きが入りづらくなります。同じ成分の鋼材でも、鋼材の太さ・厚み・重量によって焼きが入るかどうかが決まります。鋼材の質量によって焼入れ性が決定することを「質量効果」と呼んでいます。質量効果は「mass effect」ともよばれます。どうして鋼材の大きさによって焼きの入り方が決まるのでしょうか。

 それは、大きな鋼材になると、鋼材の内部の冷え方に遅れが生じてしまうからです。金属は、熱を加えることでフェライト結晶からオーステナイト結晶になり、焼き入れすることで体心立方格子の中に炭素を取り込んだマルテンサイト結晶になります。内部の冷え方に遅れが生じるということは、このマルテンサイト結晶の量が、中心に向かうにしたがって減少してしまうということです。

 質量効果が大きな金属は、大きくなるほど焼きが入りづらくなり、質量効果が小さな金属は、小さくても大きくても変わらず焼きが入りやすいと言えます。一般的に、炭素鋼は質量効果が大きく、特殊鋼は小さいようです。
 
【サブゼロ処理】
 サブゼロ処理とは、深冷処理とも呼ばれています。

 鋼材は焼入れすることで、マルテンサイト結晶になりますが、マルテンサイト結晶になる際に、一部オーステナイト結晶が残ってしまうことがあります(残留オーステナイト)。この残留オーステナイトは、焼き入れ変形や焼割れの原因ともなるものです。この残留オーステナイト結晶をなくすための処理がサブゼロ処理で、鋼材をゼロ度以下に冷やします。
 
 鋼材をゼロ度以下に冷やすことで、鋼材の中の結晶を全てマルテンサイト結晶にするのです。
 
 普通は冷却液としてドライアイスを使用します。また、炭素ガスや液体窒素を使うこともあります。ドライアイスでは-80度前後、炭素ガスで約-130度、液体窒素では約-196度まで冷やすことができるのです。-130度よりも低い温度で冷やすことを、超サブゼロと言います。

お時間がございましたら、弊社のホームページもご覧ください。
http://sodaseisakusyo.co.jp/

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